混ざった色,混ざった音

前に色について駄文を書いたのだが,人間は例えば単色の緑色も,黄色と水色が混ざって生じた緑色も区別出来ないと書いた。
となると,世の中に溢れる緑色には純粋な緑の波長を示す緑色と,いくつかの色が混ざり合って出来ている緑があって,それがごチャまぜになって俺達の目に飛び込んでいるということだ。
まず印刷物の緑はおそらく全てが混ぜ合わせて出来た色。植物の緑はおそらく純粋に緑の波長を反射してその色に見えているもよう。
昔使った分光光度計なんていう道具では溶液のスペクトルしか測ったことはなかったけれど,世の中のあらゆるものにカメラのファインダーや露出計のように測定器を向けて,被写体のスペクトルを測ることができたら面白いと思った。
世の中には既にそういう道具もあると思われるが,デジカメにどうでもいいクダラナイ機能を付けるのは止めにして分光光度計でもつけてみたら,少なくとも俺は買ってやるのだぉ。

さて,単色と混ざった色の区別はつかないのかも知れないが,多くの画家たちが描いた作品は人間の目が混色によっていかに美しさを感じるかを示した好例なのかもしれない。物理的な混色とはまた違うのだろうが,位置をずらしながらそれに加えて色を微妙に変化させることにより,ある程度の距離をとってみればそれが予想を超えた結果を生む。人間の感覚の妙とそれを熟知した業師たちの仕事は素晴らしいものだ。

面白いことにスペクトル分離が出来る感覚器,「耳」でも同じようなことが無いわけでは無いもよう。物理的なうなりの類はもちろんだが,ひとつの音だと面白くもなんともない音が2つ3つと加わるごとに何倍もの美しさをもって聞こえるというのは経験的にあるように思う。
例えば打楽器。シンバルひとつだけ叩いてみてもちっともいい音がしない。が,しかしベースドラムと合わせたり,スネアドラムと合わせて叩いた瞬間「ハッ」とするような艶っぽい音に変わる気がするのだ。
あるドラマー曰く,「そういうことが考えられて作られているのか,だとしたら凄いとしか言い様がない」。真実はどうか分からないが,人間の感覚は全く興味深いものだ。
音に関する錯覚=イリュージョンも色々あって面白く,そういうことを知り尽くして作られた業師たちの作品を聞いてみたい。